Page 20 - 権五石会長の人生のエッセイ J-Full
P. 20
その日に限ってとても町を通る飴売りの「チャラン、チャラン、チャアラン~」
街は、飴売りのハサミの音が懐かしく聞こえ、
甘くてもちした飴がとても食べたかった。
最近の若い世代はよく理解できないだろうが、その時までは食べ物があまりな
い時期だった。
小腹が空いた時間の夜になると、"もち~もち~お餅~、もち米の美味しいお餅~"
という声の 「もち米餅」が精々だった。
そこにもう少しあるとしたら、町の小さな店で売っている「大玉飴」または
「目玉飴」…
そのうち飴は私たちにとって本当に食べたいものの一つだった。
おそらく、チャランというハサミの音と、冗談交じりの飴売りの合いの手で、
誘いを受けることを知らず、飴売りの前に一人、二人集まったようだ。
町の古物は皆集まる日だ。
「あ〜 めちゃくちゃ飴が食べたい!!! 」
その日に限ってずいぶん飴が食べたくなった。
「あ~、どうしたら飴を食べられるかな?」
悩みに悩んでいたところ、友達を呼んだ。
作戦会議が始まった。 解決策を見つけた。
私たちはお金がないから、飴と交換する銅線や洋銀のかけらなどを探している
のだ。
その中でも真鍮は飴をたくさんくれることを知った。
物思いにふけった。
「どうすれば、飴を思う存分食べられるかな?」と思って
工夫を凝らしたあげく、「そうだ!!! 伯父さん…真鍮食器…」
飴を一番たくさんもらえる…
「伯父さんの黄色い真鍮の器」がひらめきながら私の頭をかすめるのだ。
伯父が必ず貴重なお客さんが来たり、大家族が集まる日にだけ使っていた「黄
QR 色い真鍮の器」…「まさにこれだ。」…
20