Page 87 - 権五石会長の人生のエッセイ J05
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IP戦争って何
■ ニューIP開発者たちは「現在、インターネットは私設網の
接続に弱点」と主張
ニューIP開発を主導しているファーウェイらは現 この過程でインターネットを通じたコミュニケー
在、インターネットが様々な網で割れていると主張 ションを検閲して統制する機能を持つこともできる
した。 という批判だ。実際にHuaweiも ITUで新しい提案を
社説通信網をはじめとする多様な網が登場したため 説明する過程で、ニューIPが特定のインターネット
だ。 アドレスへの通信を切断する「シャットアップコマ
問題は、このようなネットワークの標準がアドレス ンド(shut up command )」機能があることを認
構造がそれぞれ異なり、互換性の問題が大きくなっ めたとフィナンシャルタイムズは伝えた。
ているということだ。したがって、ホログラム、自
律走行車などの新しい技術を適切に収容するために ■西側諸国vs中国·ロシア、インターネットガ
は、より効率的なインターネットアドレスシステム バナンスをめぐる熾烈な駆け引き
が必要な状況となった。ニューIPはこのような悩 全世界のインターネット統制権をめぐる工房が数年
みを解決してくれることに焦点を合わせたというの 目続いている。米国を中心とした西側諸国は現在の
がファーウェイなどの主張だ。 システムに固執するために努力しているのに対し、
同じ網内ではインターネットを介して情報を送信し 中国とロシアが主軸となった第3の世界グループは
なくても機器まで直接通信できるようにしてくれる 米国中心のインターネット構造を変えなければなら
という説明だ。 ないと対抗している。
インターネットは事実上米国で始まった。だからア
メリカはアルファネット(ARPANET)時代だった
1968年からインターネットアドレス管理権限を行使
してきた。
商務省傘下の国家情報通信局(NTIA)を通じて民間
多 国 間 機 関 国際イ ンター ネット住所管理機構
(ICANN)を統制する方式だった。
しかし、このような構造に対して中国、ロシアなど
が主導する第3世界グループが強く反発してきた。
特に2013年、エドワード・スノーデンの暴露で米国
国土安保局(NSA)が全世界インターネットを全方
位査察してきた事実が知られて以来、反発強度がは
るかに激しくなった。
問題は、新しいIPが適用されれば、政府や通信事業
者がIPアドレスに対して強力な制御権を行使できる
という点だ。フィナンシャルタイムズによると、
ニューIPに対する批判的な立場を示す側では、新し
いアドレスを追加するには、ネットが追跡機能を持 米国ロサンゼルスの素材 QR
国際インターネット住所管理機関(ICANN)本部。 (写真
たなければならないと主張する。 =ウィキペディア)
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