Page 28 - 権五石会長の人生のエッセイ J-Full
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父との思い出
父との思い出は本当に残念だが、祖父との思い出ほど美しくはなかった。 父は
本当に情が深くて心躍した人だった。
人の困難を見かねて、人のためなら実利のないことでもしてくれたがいざ家族
にはあまり施さなかった。
そして体が弱くていつも咳をして生きていて、最後は肺病(肺結核)で亡くなった、
ある意味無能で無責任な、そんな人だった。
私は父に会うたびにこんな決心をした。
私は今後大きくなったら私の家族を徹底的に気遣って、特に愛する妻ができた
ら、妻が幸せで涙が出るほどよくしてあげないと。 私は父が母にしているよう
なむやみに接することはないようにと…
いつもそのような決心をしながら生きてきた。
そのためか、私は高校を卒業するまで、
私と同じ年頃の子供たちが密かに皆一度は飲んでみるような酒一杯、タバコ一
口、コーヒーショップやビリヤード場に一度も出入りしたことがない言葉通り
模範生だった。
それは私の人生の目標が家族、特に将来の妻に幸せを与えるためだけに、正し
くないこと、恥ずかしいことをしないように非常に努力した。 ただ健康な体、
健全な精神で妻を愛してあげたかった。
今思えば、私はすでにその時他の同年代の子供たちより考えがかなり早熟だっ
たようだ。
当時、父は文章が本当に上手だったと記憶される。
町の人たちの漢字も皆代筆してくれ、父が漢字で何かを書いてくれれば、私は
それを持って十里、二十里の道を走って行って渡したりした。
父は
本当に情が深くて心躍した人だった。
人の困難を見かねて、人のためなら実利のないことでもしてくれたがいざ家族
QR
にはあまり施さなかった。
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