Page 24 - 権五石会長の人生のエッセイ J01
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あの時の祖父の姿はまるで君主が臣下に命令するようにあまりにも威厳に満ち
ていて···
伯父は祖父にあえて何も言えず、私に早く部屋に入るように言った。
その時の祖父の姿は普段の慈しみ深い祖父の姿ではなかった。
一瞬、ありとあらゆることを考えた。
「これって、こぶを取ろうとして こぶを付けるんじゃないかな?」と思った。
私が部屋に入るやいなや祖父はドアをバタンと閉めて大きな声で···
「ふくらはぎまくり上げて!」と言って、すぐに私の耳の中に当てて···
「大声で叫んで」とささやくのだった。 (助かった!!! 助かった!!!)
私はすぐに祖父の意図に気づき、まるで俳優が演技をするようにとてもリアル
に声を上げた。 祖父と私は息が合うのは知っていたが、この時のようによく
合ったことはなかったようだ。
「パシャッ」「痛い! 」「パシャッ」「痛い!」「パシャッ」「痛い〜〜 」
祖父の合いの手とタオルをくるくる巻いた竹の枕を叩きつける音、
私はその度にぴちぴちしながら死ぬと叫んだ。
今考えてみても、あの時の私の演技はアカデミーの子役俳優賞を取るほどの名
演技だった。
考え直してもそうだ。
たまに思いながら…フフフ···にっこり笑ったりする。
伯父と家族は皆外で気を引き締め、祖父がドアを開けて出てくるまで待つしか
なかった。
「みんなすみません、申し訳ありません。」
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