Page 94 - 権五石会長の人生のエッセイ J01
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チョン·ギソン中尉とチェ·ボンソプ小隊長
私は31連隊将校宿舎(BOQ)と連隊のテニス兵士として勤務を始めた。
私の軍生活はサッカーとテニスで時間を過ごすのが日課だった。
連隊長にテニスを教えている途中、私はチョン·ギソン中尉に会った。
彼は人物も秀逸なだけでなく、性格も良く、特に私にとてもよくしてくれた。
そんなチョン·ギソン中尉が兵士たちに手榴弾投擲訓練をさせることになった。
お手本を見せる前に…
実戦用手榴弾を持って手榴弾の構造と投擲について講義をしたが···
あまりにも説明に熱中したあまり、
安全ピンを外した状態で握っていた手の力が抜けてしまって…それで… 手榴弾
が爆発してしまった。
その瞬間、その周辺は修羅場になってしまい、お手本を見せていた中尉はその
場で即死し…悲惨な事故が起きたのだ。
講義を聞いていた兵士たちも何人か重傷を負い···
部隊全体が完全にひっくり返ってしまった。
その事故があった後…間もなくだった。
死んだチョン·ギソン中尉の宛てに花柄が刻まれた手紙が届いた。
彼の遺品である事物を整理していた私にその手紙が伝えられた。
私は持ち主を失ったその手紙を焼却してしまおうとしたが... 封筒を開けてみる
ことになった。
そこに書かれた事情は実にあきれる内容で点綴されていた。
「愛するギソンさんに原州のミジョンより…」
その手紙の内容は今まで二人の結婚に反対してきた原州の両親が… 今日やっと
結婚を承諾してくれたという内容だった。
私はしばらく何も言えなかった。 誰にもこの事実を言えなかった。
その記憶が薄れていく頃、BOQで一通の長距離電話がかかってきた。
電話当番の金一等兵が電話に出た。
QR
「どなたですか? チョン·ギソン中尉のことですか?」
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