Page 98 - 権五石会長の人生のエッセイ J01
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「君と付き合う心の準備ができていないだけでなく、僕が付き合っていた誰か

               の思いが脳裏を離れない…」と…



               それで私たちはもう会わなくなったし…

               その後、十数年が過ぎたある日、ジェボンと一緒にジェウンに再び会うことに

               なったが、会社に通う新郎に会って元気に暮らしていることを確認できた。
               ジェウンとの縁はそれだけだった。

               最後の休暇でジェウンに会った日、私はそれこそべろべろになるまでお酒を飲

               んだ。 その日、私は酒に酔ったまま、清涼里の588という紅灯街を訪れ、そこで
               あっけなくも私の童貞をなくしてしまった。 実に私には悲しい瞬間だった。




               ガムをパチパチ鳴らして噛んでいた588の女···
               「早くしないで何してるの?」

               これまで私が夢見てきた性に対する価値観と、すべての期待と性に対する美し

               さが一度に崩れることを私は感じなければならなかった。
               朝になってそこを出ると、私は行き場さえ分からず、ソウルの街をさまよった。




               最後の休暇の後、私は部隊に戻り、除隊を数日後に控えたある日…

               新兵として入隊した人の恋人が面会に訪れたことがあった。その際、部隊は非
               常事態となっており、外出や外泊は禁止されていたが、私は新兵をひそかに外

               出させてあげた。私は当時BOQを担当していた最高の古參だったから、一晩新

               兵を外出させるほどの「権力」があったのだ。私はその代わりに、新兵に旅館
               の部屋から絶対に出てこないで、しっかり隠れていてほしいと頼んだ。

               ところで… 何故こんなに「絶対にするな!」というのはよくもやらかすのか???




               不幸にも彼は憲兵の不審尋問に引っかかって部隊に捕まった。
               そのことで除隊の直前、私は軍隊の営倉に行くことになった。

               私も私だけど、軍生活を始めたばかりの新兵にはあまりにも過酷なことだから、

               私は副官将校のコ·ヒョンチョル少佐に彼の善処を頼んだ。
               副官だったコ少佐はテニスが好きで私と親しい間柄で、

               事情を聞いたコ少佐は結局、新兵は永昌に行かないようにし、私だけ師団軍気
     QR
               教育隊に送って1週間かけて気合入れを受けることで締めくくった。


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