Page 63 - 権五石会長の人生のエッセイ J01
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初恋
私が思春期の時、全家族が一部屋を借りて暮らした。
大家の次女が本当に好きかった。
見るだけでもわくわくし、頭の中のほとんどはその子を思い浮かべていた。
ただ一度も愛してるとか好きだとは言えず、心だけで静かに好きだった。
私も知らんうちに片思いが始まったのだ。
愛するという言葉さえも邪魔になるほど···
私は彼女に恋をした。
思春期の時に私の家族みんながその家に借りて暮らすという劣等感と一緒に···
大家さんの娘を愛するようになったから··· もっとその子の前に立つと自分が小
さくなって···胸がどきどきして···何も言えなくなった。
ただ遠いところから眺めるだけで···ただ眺めるだけでも良かった。
その子を眺めるだけでも私には幸せだったし···
いつのまにかその子は私の夢のすべてになった。
世の中に生まれて誰かをあんなに愛した記憶はその時が一番強烈だったようだ。
ある日は学校に行くが、前に行っているその子の前をどうしても先に行くこと
ができず、しばらく後に遅れてついて行った。
そのため、登校時間が過ぎて遅刻し、校門で罰を受けなければならなかった。
それくらい私の人生はただその子一人でいっぱいだった。
私は一人で心の中でいつもこう言った。
「今後私が大人になれば、必ず涙が出るほどに大切にしてあげる」と心の中で
誓い、また誓った。
そして私の心の中ではいつもその子が私の結婚対象だった。
ラブレターを書く時も文字を知らなくて書けないし···
もしかしたら···だからもっと一生懸命勉強したのかもしれない。
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